タンポポ
今でこそ、こだわりをもったお店が当たり前となり、一冊の本ができるほど個性豊かになったラーメン。そのラーメンを現在のようなブームになる前に題材とした伊丹十三監督の傑作です。若い頃、レンタルビデオで見て以来、これまで 回ほど繰り返し見てきている大好きな作品で、見飽きることのない完成度の高さにいつも驚いています。
ストーリーは、死別した夫から引き継いだラーメン店を、主人公のタンポポが、いろいろな人の助けを借りながら再生させるもの。その奮闘ぶりは見物ですが、メインストーリーの脇で展開される食にまつわるさまざまなミニストーリーが魅力的です。
私のお気に入りは、死の間際、チャーハンを作ってくれと主人から懇願された妻が病床から起き上がり鍋さばきも鮮やかにチャーハンを作ったのち昇天するシーン。もちを詰まらせる大滝秀治の老人もよかったなぁ。ちなみにあのそば屋は東京・赤坂の砂場らしく、そういう細部を発見するコアなファンをたくさん生んでいます。
2014年7月2日 12:15 AM