あらためて知る電力自由化のこと
最近よく耳にする電力自由化。大手携帯会社が電気事業に参入して話題になっていますが、電力会社を変えると電気料金がお得になるというから、これは見逃せません。今回はちょっと分かりにくい電力自由化について、あらため整理しておきます。
電力自由化は15年前から始まっていた!!
戦後60年間、国の政策によって地域の電力会社が発電や送配電、販売を一手に担い、私たちは電力会社を選ぶことはできませんでした。といいますか、かつての電話がそうであったように選ぶという感覚も一切なく、電力は九州でいえば九州電力から「供給してもらう」しかなかったわけです。
そんな電力会社の地域独占を見直し、異業種からの電気事業参入を促進して競争を活発化させることを期待して始まったのが2000年の電力小売り自由化です。電力会社の送電部門を別会社化(発送電分離)し、電力事業者の誰もが公平に送電線網を利用できるようにし、住む地域にかかわらず自由に電気を売買できるようにしたのです。
当初、恩恵を受けるのは大きなビルなどの大口需要者でした。その後、徐々に規制緩和されてコンビニ程度の建物や全国の小中学校、役所や銀行、チェーン店など数多くの自治体や企業に広まり、2016年4月からは対象が一般家庭や小規模店舗まで拡大されます。
セブンイレブンは2億円を削減
電力供給側も、ソフトバンクをはじめ大手通信会社や住宅メーカーなど異業種から次々に電力事業に参入しています。既存の電力会社も、東京電力が子会社を設立して関西で電気を売買するなどの動きも出ています。
今春、コンビニチェーンのセブンイレブンが関西地域の約1000店舗の電力購入先を関西電力から東京電力へ切り替えたことが話題になりました。電気代の値上げが続く関西電力から契約を変更することで年間約2億円を削減できるというのが理由ですが、昼夜問わず大量の電気を使うコンビニ店舗にとって安く電気が買えれば、電力会社を乗り換えるのは当然でしょう。
海外では電気代が上がるデメリットも
これまで、電気代は税金のようにあらかじめ決まっているものとあきらめていましたが、電力会社を変更することで一般家庭でも簡単に電気代を削減できるわけです。価格以外にも、太陽光発電などクリーンな電気を販売する会社から購入することで地球温暖化防止に貢献するといった満足感も得られます。
また、時間帯別に電気使用状況が確認できるサービスも希望すれば受けられ、昼はA社、夜はB社と、時間帯ごとに一番安い電力会社を選べ、より細かく電気代削減が可能になります。
ただ、電力自由化はメリットばかりではありません。自由化がすでに始まっている海外では燃料費調達コストが予想以上にかさみ電気代が上がったり、安定供給ができずに停電を起こしたという例もあります。電力自由化で検索すれば、いろいろな事例を知ることができますから、来春に備え今の時期から勉強しておくことも大切です。
2015年9月1日 11:56 AM