官兵衛に学ぶビジネス処世術
大河ドラマ「軍師官兵衛」で盛り上がる福岡市。黒田官兵衛は天下人の秀吉も恐れたという最強の軍師ですが、家臣も驚く節約家で争いごとが嫌いな平和主義者だったとか。今回は、官兵衛のエピソードから、現代のビジネスに通じるヒントを探してみましょう。
ケチに徹して蓄財
官兵衛は倹約家として有名でした。家臣に与える褒美も自分が愛用した衣類や武具を、お金で買い取らせていたといいます。なんとケチな上司! と思われるかもしれませんが、これは部下に購入させることで不公平感を与えない策だったのです。譲る品もできるだけ状態のいい物を格安にして買わせており、これは現代にも通じるリサイクル的な発想といえるでしょう。また、博多区にある「楽水園」や菩提寺の崇福寺で見られる博多塀も実はリサイクル品。現在の福岡市中心部の街並みに生きる「太閤町割り」という都市再開発で、塀を築く時などに古い瓦を再利用しています。黒田家にはこういった倹約の精神が根づき、戦国の世を戦い抜く財を蓄えたといいます。給料の現品支給は無理としても倹約精神は見習いたいものです。
ここ一番で大盤振る舞い
そのようにして蓄えた財産ですが、いざという時には惜しげもなく使ったといいます。九州平定の際、主要な家臣たちは官兵衛の嫡男(長男)長政に率いられ、関ヶ原の戦いに出向いて人材不足に陥りましたが、官兵衛は蓄えていた金銀や米を浪人や農民に与えて兵として雇い、短い期間で大軍をつくりあげました。使うべき時を見誤らず集中して投資する、選択と集中の発想といえるでしょう。
損する戦さはしない!
官兵衛が理想とする戦い方は、「戦わずして勝つ」こと。敵を説得して降伏させ、味方に引き入れる工作を得意としました。戦さをすれば、たとえ勝っても味方に犠牲が出て領地は荒れます。そんな損害をできるだけ避けるため、親しい武将に手紙を書いたり謀略のために情報収集したり、準備には充分時間をかけたといいます。こういう考え方は現代のビジネスにも十分通じますね。
部下にこそ目をかけよ
「料理で遊ぶ」というと語弊があるかもしれませんが、視点を変えれば立派なレジャーに変身します。パン作り、ピザ作り、そば・うどん打ちなど、粉を捏ねるのは非日常的で大人もワクワクするもの。パンやピザは、焼き上がりを想像しながらトッピングに工夫ができて楽しみは倍増します。ポイントは後片付け。「よーい、ドン」などと競争したりしてエンターテイメント化することでしょう。
ひとりで、夫婦で遊ぶ
「神の罰より主君の罰おそるべし、主君の罰より臣下の罰おそるべし」。官兵衛が死ぬ間際に残した言葉です。その意味は「神には祈ればよい、主君に叱られたら謝ればよい。しかし、家臣や領民に見限られたら家も領地も終わりだ」というもの。部下や仲間に無理をさせて、反感を買ってしまえば、心は離れていきます。自分を支えてくれる人は誰なのか、あらためて考えたい言葉ですね。
策をしくじれば命を失いかねない戦国時代。現代とは世相は大きく違いますが、冷静な判断で時代を乗り切る精神は見習いたいものです。
2014年9月1日 11:02 PM